ワイルド・スピードからマーベル作品まで、諸事情により残念な感じになってしまった映画内CGIシーン10選

デジタル技術が飛躍的に発達した現在、コンピューター生成画像(CGI)技術を使えば、どんな場面でも撮影することができる。かつては不自然でぎこちなかったCGIも、今では絶対にありえない状況でありながら、それでいて非常に現実感のあるシーンを描き出すことができる。

 だが悲しいかな、この世の中には想像力や才能や予算に制約というものが存在する。また、どんなに高度なツールを使えたとしても、使いこなせなければその出来栄えはがっかりな感じとなってしまう。

私もいくつかの作品を見ているが全く気が付かなかった。だがマニアには一発でわかってしまうのだろう。ここでは映画、テレビドラマ内で残念な仕上がりとなってしまった10のCGIシーンを紹介しよう。

1.車内で輝く人影『ワイルド・スピード SKY MISSION』

 『ワイルド・スピード SKY MISSION』の撮影中、ブライアン・オコナー役のポール・ウォーカーが交通事故で亡くなってしまった。しかし350のCGI画像と遠くから撮影された彼の兄弟の姿を組み合わせたことで、ブライアンはしっかり最後まで作品に出演することができた。その出来栄えは素晴らしく、ほとんどの人は違和感を感じることもなかっただろう。

 だが、やっちまったなと思うシーンもある。それは登場人物全員が並んでロサンゼルスを見渡すシーンだ。

 ブライアンはその一番端に立っており、ドミニクの方を見る。が、その顔は明らかにCGである。そしてラストで、ブライアンとドミニクが車で去っていくシーン。車内の人物はほとんど輝いているかのようだ。

2. リヴァイアサンが怖くないぞ?『スーパーナチュラル』

ウィンチェスター兄弟がアメリカ各地でさまざまな超自然現象に遭遇する『スーパーナチュラル』は、2020年11月、15のシーズンと327エピソードをかけてついに完結。アメリカ最長のファンタジーTVシリーズとなった。

 だがシーズン7のリヴァイアサン登場シーンがヤバかった。 それは視聴者の度肝を抜くよう意図されているはずだが、どうにもCGIの出来が悪い。鋭い牙と二股の舌はコミカルで、恐怖よりもむしろ笑いが込み上げてくる。

3. 大津波でサーフィン?『007 ダイ・アナザー・デイ』

記念すべきシリーズ40作目を飾った『007 ダイ・アナザー・デイ』は、当時007シリーズ最高の興行収入を記録した。

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 しかし一部ファンからは押しが弱いと評されている。透明な車も、津波でカイトサーフィンするやっちまった感のあるCGIも、その評価を覆すことはできなかった。

 氷河が崩壊したことで、巨大な津波が発生。ジェームズ・ボンドはロケットのような車から部品を引き剥がしサーフボードにすると、パラシュートを巧みに操りながらサーフィン。危機一髪の状況から脱出する。

4. クライマックスでガクッ『MAMA』

スペイン・カナダ共同制作のホラー映画『MAMA』の冒頭では、ある男が不仲だった妻と同僚を殺し、さらに子供を森に連れ込んで殺そうとする。そこに謎めいた人影が登場し子供たちを救出。こうした一連のシーンは、間違いなく身の毛がよだつ。

 子供たちからママと呼ばれ慕われるようになった人影だが、作品中ほとんど隠されているのが効いているのだろう。

 その後に展開されるシーンも薄気味悪さ満点だ。だが、ついにその姿が明かされたとき、ガクッとくる。

 過剰に影で演出された出来の悪いCGIのおかげで、それまで積み上げられてきた恐怖と緊迫感は一瞬で霧散してしまう。

5. ハルクバスターに異変『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

世界で大人気のマーベル作品だが、『キャプテン・アメリカ』で列車から奇妙な落ち方をするバッキー然り、『マイティ・ソー バトルロイヤル』でノルウェーに変わってしまうニューヨークの街並み然り、ひどいCGIでやっちまうことはある。

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 だが一番やっちまった感が強いのは、いくつもの素晴らしい特殊効果で演出することに成功している『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』だ。

 ワカンダ王国での決戦シーンで、ブルース・バナーはハルクバスターを装着。最初はカッコよく見えるのだが、それもスーツが開いてバナーの頭がチョンと突き出るまでの話だ。頭部が体に比べてやたらと小さく、なんだかスーツの上に浮いているかのようだ。

6. トラはよかったけどクマが残念だった『STATION 19』

テレビドラマで特殊効果を利用しようとすると、予算の制約に直面する。『グレイズ・アナトミー』でいつもヘリコプターがぼやけており、爆発や炎が嘘っぽく見えるのはそのせいだ。

 炎といえば、スピンオフ作品である『STATION 19』では毎回毎回、誰かしら火災に遭遇する。だがときにトラやクマに遭遇することもある。CGIのトラは悪くなかったが、クマが残念な感じとなっている。

7. 俳優の老化対策に失敗『IT』

 最近リメイクされた『IT』は、ガチなホラーファンにとってあまり評判が良くなかったようだ。海外では甲高い声で、古き良き罵り方をしてくるペニーワイズを真剣に観られない人も多かったという。更にCGIによる怖いというよりも、アホっぽい怪物たちもそれに拍車をかける。

 製作者を一番困らせたであろうことは、リッチー役のフィン・ウォルフハードが著しく成長してしまったことだ。

 このために『IT2』ではリッチーの顔を若返らせねばならなくなり、それがどことなく不穏な雰囲気をつくり出している。皮膚は不自然なほど滑らかで、エアブラシで描かれた頬と分厚い眼鏡によって、奇妙さが引き立てられてい

8. 鹿が大変なことに!『ウォーキング・デッド』

 『ウォーキング・デッド』は強烈なCGIで知られる作品ではない。特殊効果に不味いところがあっても、大抵は大目に見られてきた。そんな作品でも看過されなかったシーンがある。

 ゾンビの群れに追い詰められたリック・グライムスは、相手の注意をそらすためにシカを殺そうとする。そのシカがなんだか悪夢から彷徨い出てきたかのような出来なのだ。どことなく半透明に見える点は置いておくとしても、なぜあんなに体が引き伸ばされているのだろうか。

9. ネコの特殊効果が…『キャッツ』

いつでもどこでも嫌われる映画があるとすれば、それは『キャッツ』のことだ。ハリウッドの大物が出演しているにもかかわらず、一部からはこれまでで最悪の映画と酷評されてきた。

 批判の多くは、ネコの特殊効果へ向けられたものだ。着ぐるみで温まっているうちに、メイクをやりすぎてしまったかのようだ。

 また人間の顔をしたゴキブリとマウスも上手くいったとは言い難い。だが最大のヘマは、ネコなのに人間そのままの足と、CGで描かれた一部のキャラの耳だろう。そもそもミュージカル自体が大したことないという意見もある。

10. 赤ちゃんが!赤ちゃんが!『Bull / ブル』

コロナ禍でロックダウンされた状況では、ドラマに本物の赤ちゃんを登場させるのが難しかったことはわかる。だがそのおかげで『Bull / ブル』のシーズン5は、恐ろしいことになってしまった。

 エピソード1の冒頭で、主人公ジェイソンの娘がチラッと映る。本来なら可愛いらしいはずの女の子の赤ちゃんなのだが、画面に映るそれはチャイルドプレイのチャッキー、あるいはローズマリーの赤ちゃんのようだとネットで拡散され、ゾンビみたいだの、ネコのように鳴くだのと書き立てられた。

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